この記事では、世界の名だたるトップメイクアップアーティストを紹介していきます。
今回はこちらの3人です。
Serge Lutens
Kevyn Aucoin
Francois Nars
まずはこの人から
Serge Lutens セルジュ・ルタンス

フランスの知性・哲人」とも称されるアーティスト、セルジュ・ルタンス。
メイクアップのみならず、ファッションや写真、ムービー、フレグランス・・・
その活動は多岐にわたり、あらゆる部門で「美」を表現する世界的クリエイターです。

そのキャリアのスタートは、1968年、彼がクリスチャン・ディオールのメイクアップラインの開発に従事したところから始まります。
当時、画期的なクリエイティブディレクターを探し求めていたディオール。
まだ年齢も若く、メイクアップアーティストとしてスタートしたばかりのセルジュ・ルタンスのカラフルで芸術的な作品の数々が目に留まり、アーティスティック・ディレクターに起用します。
約12年間ディオールとのコラボレーションは続きました。

それを経て1980年より日本の資生堂のグローバルイメージ展開の責任者に就任。
その後約20年間イメージクリエイターとして商品開発に携わります。
生気の感じられない真っ白な肌に、鮮やかな色彩のメイクがとても印象的な作風です。
一見絵画のようにも見えます。

当時、資生堂の広告塔だった山口小夜子をモデルにした作品。
まさに「日本の美」を世界に知らしめるきっかけとなった作品。
全く隙のない、無機質な美しさです。
独創的な世界観に圧倒させられます!
モデルのメイクだけでなく、ヘアやファッション、ポージング、撮影に至るまで、全てセルジュ・ルタンス本人により手掛けられており、並々ならぬこだわりを感じます。
また、彼はスチールだけでなくコマーシャルフィルムも制作し、カンヌ国際映画祭では金賞を受賞しています。
2000年にはフレグランスラインの「パルファム・セルジュ・ルタンス」、2005年にはメーキャップラインの「ネセセール・ドゥ・ボーテ」を立ち上げ、現在は主に香水の創作に専念しています。


ブランドプロデューサー、メイクアップアーティスト、フォトグラファー、デザイナー・・・
様々な肩書きをもつセルジュ・ルタンス。
自身の世界観を表現するために、妥協を許さずひとつひとつにこだわり抜き、そしてそれを追い求める力強い姿勢が、こういったセンセーショナルな作品の数々に繋がっているのだと感じました。
以上、セルジュ・ルタンスでした。
続いて
Kevyn Aucoin ケヴィン・オークイン

今は亡き伝説のメイクアップアーティスト、ケヴィン・オークインをご紹介します。
1962年アメリカ生まれのケヴィン・オークインは、80年代から90年代にかけて活躍した
メイクアップアーティストです。
ナオミ・キャンベルやケイト・モス、リンダ・エヴァンジェリスタなどの90年代のスーパーモデルたちから始まり、グウィネス・パルトロー、ウィノナ・ライダー、ホイットニー・ヒューストンといった数多くの女優・歌手のメイクを手掛けており、そしてそうした数々のセレブたちから指名されるほどのテクニックとセンスを持つアーティストでした。
まさに80年代後半から90年代にかけての人気者のほとんどのメイクを手がけたと言っても過言ではないほど。
シンプルながらも力強さを感じます。
モデルの持つ本来の魅力を引き出し、それでいて隙がない美しさが作り上げられています。

メイクアップだけでなく、1983年にレブロン、その後は資生堂INOUI(インウイ)クリエイティブ・ディレクターに起用され、コスメ開発にも携わります。

また、彼は現代のメイクトレンドの基礎を作ったと言っても過言ではありません。
90年代にブームとなり、その後日本でも流行した「細眉」や、現在Instagramでもよく見かける「コントゥアリングメイク」の元祖と言われているのがケヴィン・オークインなのです。
※コントゥアリングメイクとは・・・
ハイライトとシェーディングを使って顔に陰影をつけ、理想の骨格に近づけるメイク方法のこと
女性の顔の造形を深く理解し、どこをどうしたら美しくなるかということを完璧に熟知していたんだろうということが伺えます。
残念ながら2002年に40歳の若さでこの世を去りましたが、今もなお多くの著名人やコスメブランド、メイクアップアーティストに影響を与え続けています。

亡くなって20年近く経った今も、彼の写真集や彼自身の名を冠したコスメブランドは色褪せることなく多くの人々から愛されています。
一昨年、昨年とドキュメンタリー映像が続々公開されていることからも、彼がいかにこのビューティー業界にとって革命的な存在だったかということが見てとれます。
現代のメイクアップの基底を作り上げた彼から学ぶべきことはまだまだ尽きないのだと感じます。
以上、ケヴィン・オークインでした。
続いて
Francois Nars フランソワ・ナーズ

メイクアップアーティスト、フォトグラファー、そしてコスメブランド『NARS』の創立者であり、クリエイティブ・ディレクターという3つの顔を持つフランソワ・ナーズ。
フランスに生まれ、その後パリのスクールでメイクを学んだ彼は、メイクアップ界の重鎮とも言われるオリヴィエ・エショードメゾンに師事します。
1984年にニューヨークへ移住してからは、フォトグラファーのスティーブン・マイゼル、ヘアスタイリストのオリベ・カナレスらと作品を撮り、VOGUEやELLE、Harperʼ s BAZAAR
などのファッション誌に掲載されるようになり活動の幅を広げていきました。

ドルチェ&ガッバーナやマーク・ジェイコブズ、アナスイなどのデザイナーのバックステージに入るようになり、その後ラルフ・ローレン、ヴェルサーチ、カルバン・クラインといった有名ブランドの広告も務めるようになります。

1994年11月に12本のリップスティックを発売したことをきっかけに、「女性の持つ本来の美しさや個性を引き出したい」というコンセプトの元、自身のコスメブランド『NARS』を立ち上げます。
2000年に資生堂の傘下に入ったことで日本でも本格的に展開されるようになりました。
スタイリッシュかつクールなビジュアルが印象的です。
「美しさにルールはない」という哲学を持つ彼の言葉通り、より個性を引き出せるよう、カラーに特化した商品が多いのもNARSの特徴です。

その後、メイクアップアーティストだけでなくフォトグラファーとしても活動するようになり、VOGUEやHarper's BAZAARなどのファッション誌から撮影依頼が来るようになりました。


NARSのシーズンごとに発表される広告ビジュアルは、今日に至るまで、メイクアップだけでなく撮影も全てフランソワ・ナーズ自身が行なっていることからも、並々ならぬこだわりや強いメッセージ性を感じます。

1999年には初の写真集を発売し、その後もメイクアップ本やポートレート写真集など数々の作品を世に出し、メイクアップアーティストとしてだけでなくフォトグラファーとしても高い評価を受けています。
枠に囚われない自由な発想や楽しみ方をフランソワ・ナーズ自身が体現しており、NARSというブランドに落とし込んでいるからこそ、多くの人に支持されるブランドとして確立できたのだと思います。
以上、Makeup Artistでした。